冷たい雨 その3
今日のミラノは薄曇りながら、時折晴れ間も見え上々の天気です。
ただ時折吹く風はまだまだ冷たく、今が冬である事を主張しています。
こんな陽気な日に、僕はまったりと時間を過ごしてみたいと感じずにはいられません。
忙しいのも程々がいいですね。
昨日で完結すると思われていた方が多かったようですが、この話は現実に起こったこと
なので、全てを語るにはもう少々の時間が必要です。
もしよろしければもうちょっとだけお付き合い願えると光栄です。



Romaに入り、翌日は何も無かったのでゆっくりとRoma観光をする事ができた。
ホテルはTermini駅の近くにとっていて、移動には地下鉄が便利。
しかし当時のTermini周辺はジプシーの方々が多く見受けられ、必ずしも環境のよい
場所とはいえなかったが、ここの場所のホテルを選ぶ理由はやはり交通の便のよさ。
僕は歩く事が大好きで、訪れた街をよく散策する。余程でない限りは歩く。なのでとり
あえずこの日も歩いて南に向かって坂を下り、Colosseo方面へ向かった。
Colosseoは以前に観光した事があり中にも入ったことがあったので、そのまま通り過ぎ
さらに南に下って、Terme di Caracallaに行く事にする。

Terme di Caracallaは217年にカラカラ帝によって造られた大浴場で、間口220m、
奥行き100m、Terme di Diocletianusができるまでの約1000年間、ローマで一番の
大きさを誇っていた浴場。1,100㎡以上の広さがあり、一度に1,600人も収容することが
できた男女混浴の浴場であったと聞く。(萌え萌えだったのか?)例えるならば、
現代の総合レジャーセンターのような感じで、3種類の風呂場、沢山の個室、2つの
体育館、図書室、休憩室、庭園、集会室などが完備されており、当時の社交場の一つ
だったのでしょう。温泉大好きな現在の日本人と同じ感覚だったなローマ人。(笑)

この日は他に公園などを回り、まったりとした贅沢な一日を過ごす事ができた。
実は週末まですることも無く暇だったと言うのが本音で、明日もあるからという感じで、
その日の夜はPiazza di Spagnaでgelatoでも食べようと(嘘!寒いつーの)思い夕方く
らいにまた出かけて行った。(この季節bruciata(焼き栗)が美味しいんです)
うっ!また観光ガイドになってる。(爆)
それでは本編をどうぞ。

翌朝朝食を摂るためにreceptionへ降りると、姉妹の姿が目に入った。
僕は驚いて足早に近づくと、二人とも泣きそうな顔で「GONさん」っと言って絶句。
「どうしたの?いつローマへ?」と聞くと、昨日の夕方にはローマに入ってユースホス
テルにチェックインしたのだけど、とても怖い思いをしたので僕のメモを頼りに今朝早く
にユースホステルをチェックアウトして出てきたのだと言う。
今はreceptionで価格の交渉をしていたところだっとと姉が言った。
僕も知り合いだから安くしてとreceptionistに言うと、ではという提示があった。
まあこの価格なら朝食もついているし、今すぐに(朝の7時)用意できるということだった
ので、姉妹も納得して宿泊する事になった。
姉妹はとりあえず荷物を置いてシャワーを浴びたいといっていたので、僕は少し待つ事
にして、その間にreceptionistに交渉して今朝の朝食も一緒に食べていいかと聞いた。
もちろん快く「Si certo!」という言葉が返ってきた。
30分程待っただろうか、姉妹はまだ濡れた髪のままで降りてきた。
僕はPerugiaでの事もあり心配になって「大丈夫?風邪ひかない?」と聞くと、
「もう大丈夫です。」と姉は答えた。
僕なら待つから心配ないと言ったのだが、このままでよいと言う。

朝食(ここの朝食は少しマシで、コンチネンタル風だった)を摂りながら、事の経緯を二人
は語り始めた。
あの後皆が心配してくれて色々なものをくれた事。(風邪薬とか)
Firenzeでもう一泊して、昨日の列車でRomaに移動してきた事。
そして、Romaのユースホステルに宿泊したのだけど最悪だった事を・・・
Romaのユースは大部屋しか空いている部屋がなく男女同室で、荷物を預けるロッカーも
鍵が壊れていて荷物を置いて食事に出る事すらできなかったという。
更にシャワーもお湯の使いすぎでなのか、お湯が出ずに水だけだったので浴びる事が
できずに気持ち悪い夜を過ごしたと。そして夜中に大きな物音がして怖くて眠る事ができ
なかったと。(男女同室という段階で寝れないと思うけど・・・)
僕から貰ったメモがとても心強く、高くてもいいから明日朝すぐに僕の泊まるホテルに
駆け込もうと姉妹で相談、今朝ホテルに着いたところで目の前に僕が現れて安心して
気持ちが緩み泣きそうになったと言う事だった。
旅先で心細いときに知っている人を見かけたら、多分僕でも嬉しくて駆け寄るだろうと
姉妹の心境を素直に感じる事ができた。

朝食の後、市内観光をしたいということだったので、cappuccinoを飲みながら何処に
行くか相談した。3人とも一致した意見はLa Città del Vaticanoだったので初めに
行く事にし、すぐに出かける事にした。

La Città del Vaticanoはまたの名をローマ法王庁(Curia Romana)ともいい、
イタリアの中にある独立国家である。約10億6千万人とも言われる信者を擁する
カトリック教会の最高機関で、現在のローマ法王はポーランド出身の第264代法王
ヨハネ・パウロ2世(Johannes-Paulus Ⅱ- 1978年10月即位)
総面積は0.44km²で、人口は812人(2004年4月現在)。ローマ法王を元首とし、
公用語はラテン語だが、行政事務ではイタリア語が使用される。
通貨は現在はユーロが通用。

Basilica di San Pietroではcupolaの上まで登り眼下に広がるバチカン市街とローマ
の街並みを楽しんだのだが、その日のよく晴れたローマの空は青くてとても心地よく、この
思い出に彩を添えるようだった。

夜になって食事をする事になり、ホテルの近くのレストランに入ると、妹さんが
「今日は姉の誕生日なんです。だから、よい思い出にしたくて・・・だから、やっぱり
GONさんにお会いできてとても嬉しかったです。」ときりだした。
姉の方もしきりに「ありがとうございました。」を繰り返していた。

人に親切にすると言う事は非常にデリケートな事だと思う。
僕自身それ程ボランティアの精神が強い方ではない。むしろ、Perugiaの駅で出会った
カップルのように冷たくあしらわれると『親切で声かけたのに、ふざけんな』って気持ちを
持つ事もある。
だが時として歯車が上手くかみ合うと、非常に心地よいものとなってくれる。
この姉妹との出来事は、ほんの少しの思いやりが大きな幸せを運んできてくれたかのよう
で、心底声を掛けてよかったと思えた。

僕はcameriereに「Lei e compleanno.」こっそり伝え、proseccoを3つ食前酒に
注文した。cameriereがtre prosecciを運んでくると「Buon compleanno !」といっ
て彼女に前に差し出してくれて、彼女達が喜びの笑顔を見せてくれたのを今でもよく覚え
ている。
それから僕達はそれぞれに好きなものを注文して楽しい夕食を囲んで、それぞれの身の
上話に花を咲かせて大いに盛り上がり、その日の夕食を楽しんだ。
(かなりプライベートな事なので内容は端折ります。)
楽しい食事も終わりに近づきcaffèを頼むと、前出のcameriereがdolceと
tre prosecciを一緒に持ってきてくれた。お店からの奢りだと言う。
(食事代は僕が払いましたよ。ちなみに・・・笑)
ただ誕生日だと言っただけでこんなサービスを受けるなんて、イタリアはやはり粋な国だ
と改めて感じる事ができて本当に嬉しかったし、何よりも彼女達の驚きの笑顔が印象的で
出会わせてくれた神様の悪戯に心から感謝した。(ありがとうございます。)

翌日姉妹は色んな思い出を胸に「日本に帰ったら絶対に連絡をください。」という
メッセージを僕に残して帰国の途につき、数日して僕もイタリアを後にした。
自宅に着きポストを開けると彼女達からのポストカードが届いていて、嬉しくなった僕は
彼女達に電話で帰国の報告。
以来機会があれば何度か食事やお茶をしたり、毎年のように年賀状などのやり取りが
今でも続いている。

姉は大手通信会社に就職したのだが、環境が合わずに転職。大手ケーブル放送の会社
に就職するも現在はまたまた転職して、小規模なケーブル放送局に勤めている。(はず)
妹は小さい頃からの夢だったと言う保育士になって、毎日子供達に囲まれた幸せな日々
を送っている。そして僕は3人の思い出の地であるイタリアに現在は生活している。

去年姉妹はニューヨークに行ってゼロポイントへ花束を捧げてきたそうだ。
その時の写真をメールに添付して送ってきた。相変わらず仲の好い姉妹だ。
今年も年賀状(グリーティングカード)が届いていた。
縁とは本当に不思議なものだ。
たった一言声を掛けただけでドラマが生まれ、今でも関係は続いている。
もちろん好い事ばかりとは限らない。しかし、自らが出会いを遠ざける必要も無い。
これからも僕は人との出会いを大切にしていくだろう。
そしてその出会いが運命であると思い続けるだろう。

夕暮れの公園2
photo by GON
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by illy23 | 2005-02-18 00:49 | 風景
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