いつか戻る場所 Vol.7
またこの話しかと思う人もいらっしゃるでしょうが、書き始めた以上は完結させなけ
れば自分自身にけじめがつけられない。
誰にも大切な思い出と場所があることだと思う。
僕にとってはCanadaの地がそうなのだ。




以前話しに出てきた高校生とは放課後に良く遊んだ。
それ以外のメンバーとも事あるごとに映画に行ったり、ローラーブレードなどをしたり
して遊んだ。
しかし、僕のようなダメ社会人とは違い彼等には限られた時間しかない。
Vancouver滞在の最終週の週末に僕は彼等を誘ってVictoriaへ出かける事にした。

メンバーはトモヒロ、カズヒサ、チサト、ミエそして僕の5名。
ロバートという個人で観光アテンダントの人にアポイントを取り、1泊2日の旅。
出発は土曜日の朝早く学校に集合。
9人乗りくらいある大きなバンでフェリーに乗り、British Colombiaの州都Victoriaへ。
この日は良く晴れた最良の一日で、海はキラキラと輝き爽快な風がこれから始まる
楽しい旅を印象深くしていった。

Victoriaではブチャート・ガーデンをはじめ、お城や主だった観光地をロバートが
慣れた様子で次々へと案内していった。
春という事もあり、ブチャート・ガーデンには花が咲き乱れ、まるで美しさを競って
いるようだった。
一通り観光も終わった夕方にロバートはコテージ(モーテル?)へ向かった。
チェックインを済ませると、そこからは自由行動で、翌日の12時にロバートは迎えに
来ると僕達に伝えて、そそくさと待たせあった彼女と出かけてしまった。
僕達は荷物を部屋に運ぶと直ぐに散歩しようという事になり、15分後にロビーへ
集合してVictoriaの街へとくりだした。

この時、初めて訪れた地Victoriaは、僕の心にどんどん染み込んできていた。
実はVancouverへ来ようと思ったのは、写真に対するテンションが下がっている
時期でもあった。
もちろん次のステップを踏むための準備として語学を学びたいと思ったのは事実。
しかし、漠然とした目標になってしまっていたため今一つカメラを握る気にはなれず
機材を持ってきているにも関わらず、Vancouverへ来てから殆ど写真を撮ることは
なかった。
もっぱらハンディ・カムでビデオばかり撮って遊んでいた。

だけど、その僕の心にVictoriaの地は、カメラを持ってこなかった後悔を植えつけた。
Victoriaの空気や街は、僕に写真を撮りたいという衝動を起こさせた。
突き上げてくる感情が抑えられなくなるほど。
鳥肌が立つ程心が震えたのは久しぶりの感覚だった。
そして何かが見えた気がした。
感じなければいけないのはこの空気なのだ。
撮らなければいけないのは湧き上がる感情なのだと。
でも、カメラを持ってきていないのは事実で、例えようのない後悔だけが心を突いた。
でも、周りにはそれを悟られぬように、一緒に楽しく騒いだ。

夜になり夕食のあと僕達は港の周辺を散歩した。
夜風が心地よかったのを良く覚えている。
陸上部のカズヒサが急に駆けっこをしようといってきた。
それも本気でやろうということになり、僕もマジになって走った。
写真を撮りたいという衝動を拭い去るように。
結果はカズヒサ・トモヒロ・僕・チサトの順番だったと思う。
ミエは審判をやっていた。
楽しくにぎやかな一日はそうして過ぎていった。

翌日軽く朝食を済ませた僕達はまた市内の散策に出た。
博物館を見学した後、近くのホテルでブランチ。
本格的な英国式の紅茶やサンドイッチを食べて、迎えに来たロバートと合流して
Vancouverへ。

フェリーのデッキで風に吹かれながら、僕はVictoriaでの出来事を思い返していた。
あの一瞬感じた光や空気はなんだったのかと。
リラックスし、ニュートラルな気持ちだったことと、美しいVictoriaの街が相乗効果と
なり、僕の心に響いたとしか言いようが無かった。
この旅は単なる思いで作りの旅には終わらなかった。
Victoriaの地は、新たな気持ちでカメラを持つことへのきっかけになったのだ。
僕はきっといつの日にかVictoriaへ戻ることになることだろう。
心の中でそう確信した。


古代ローマが感じれる、San Lorenzo Maggiore
photo by GON
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by illy23 | 2005-06-04 01:17 | いつか戻る場所
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